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行政書士の風営法に関する業務とは?
行政書士は許認可申請のプロフェッショナルで、様々な書類の作成や代行の業務を行っています。
飲食店に関する許認可申請は営業許可申請や建設許可申請が有名ですが、風俗営業許可申請も行政書士の代表的な業務ですね。
行政書士の風営法に関する業務は、風俗営業の許可申請に必要な書類の収集や作成がメイン!
キャバクラやホストクラブなど、風俗営業を営むには風営適正化法で営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に許可を取らないといけません。
自分で必要な手続きを調べたり書類を集めたりするのは面倒ですので、風俗営業許可申請は行政書士の出番というわけです。
行政書士の立場に立ってみると、風営法に関する業務は依頼がなくならないというメリットがあります。
現在では新型コロナウイルスの影響で、新規で風俗営業を営む店舗は激減しました。
しかし、これはあくまでも一時的な現象で、夜のお店やビジネスが淘汰されることは絶対にありません。
一般の方では手続きや申請がしづらいため、行政書士に依頼の業務が集まります。
建設業許可や顧問業務と比較してみると、行政書士の風営法に関する業務は単発の依頼で売り上げが安定しないとのイメージあり…。
確かにその通りですが、風営法関連の業務には次のパターンもありますよ。
- 1店舗目の開業で成功し、2店舗目3店舗目を出店する予定
- お店の造作に変更があって届け出が必要になった
- お店の名義が変更になって手続きする必要がある
全て同じ行政書士に依頼するケースが多いので、風営法関連業務は行政書士にとってありがたい仕事の一つだと言えるでしょう。
風営法の概要
そもそも風営法とは何なのか、気になる方は多いですよね。
耳にする機会が多いので何となく想像できると思いますが、風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」で色々な場所に勝手に風俗店が作られないような法律を指します。
風俗とは、「お酒を飲めるお店」「賭博ができるお店」「性的サービスを受けられるお店」が代表的です。
風営法で取り締まらないと幼稚園や小学校の近くに風俗店が出来てしまいますので、教育環境的に良くありません。
「大人のお店は定められた場所で営業しなさい」という法律が風営法です。
風営法が最初に制定されたのは昭和23年7月10日で、今に至るまでに30回以上の改正を繰り返しています。
最近では、「客にダンスさせる営業に関して規制の範囲や内容の見直し」「良好な風俗環境を保全するための規制の整備」などの項目で風営法が改正されました。
例えば、許可を受けずに風俗店を営業した場合、「2年以下の懲役」もしくは「200万円以下の罰金」が科せられます。
参考:風営法第四十九条(e-GOV) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122
管轄の都道府県公安委員会からの許可を得ないと営業できないため、申請の手続きは専門家の行政書士に依頼するのが一番です。
風俗営業許可が必要なお店・不要なお店
風俗営業は、キャバクラやホストクラブなどの接待飲食等営業と、性風俗店の性風俗関連特殊営業の2種類にわけられます。
どちらのお店を営業する場合も、風俗営業許可を取得しないといけない点では一緒です。
ここでは、風俗営業許可が必要な接待飲食等営業のお店について見ていきましょう。
風俗営業許可が必要な接待飲食等営業のお店 | |
---|---|
1号営業 | 客の接待をして客に遊興や飲食をさせる営業(クラブやキャバクラなど) |
特定遊興飲食店営業 | 客にダンスをさせて客に飲食をさせる営業(ナイトクラブやディスコなど) |
2号営業 | 照度が10ルクス以下で客に飲食をさせる営業(喫茶店やバーなど) |
3号営業 | 客に飲食をさせる営業で他から見通すのが困難な広さが5㎡以下の客席(喫茶店やバーなど) |
4号営業 | 客に射幸心をそそるおそれのある遊戯をさせる営業(パチンコや雀荘など) |
5号営業 | スロットマシーンやテレビゲーム機で客に遊戯させる営業(ゲームセンターやダーツバーなど) |
これらの風俗営業を行う場合は、店舗所在地の都道府県の「公安委員会」に許可申請が必要だと風営法第2条で定められていますよ。
詳しい説明は省きますが、「店舗型性風俗特殊営業」「無店舗型性風俗特殊営業」「映像送信型性風俗特殊営業」「電話異性紹介営業」などの性風俗関連特殊営業も風俗営業許可が必要なお店です。
参考:性風俗関連特殊営業とは(矢口総合事務所) http://www.nsjc.co.jp/?page_id=135
風俗営業許可が必要なお店と不要なお店の違いは、接待を行うのかどうかで決まります。
接待とはキャバクラやホストクラブのように、歓楽的雰囲気を醸し出す方法でお客さんをもてなすことです。
以下では、接待にあたる場合と接待にあたらない場合をまとめてみました。
<接待にあたる場合(風俗営業許可が必要)>
- 少数のお客さんの近くにはべり、継続して談笑したり飲食物を提供したりする
- 少数のお客さんの近くにはべり、歌に手拍子を取って一緒に歌う行為
- 特定少数のお客さんと一緒に遊戯やゲーム、競技を行う行為
- 特定のお客さんと身体を密着させたり接触したりする行為
<接待にあたらない場合(風俗営業許可は不要)>
- お酌をした後に速やかにその場を立ち去る行為
- お客さんの近くに位置せず、若干の世間話をしたりする程度の行為
- 客一人、または客同士で遊戯やゲームを行わせる行為
- 社交儀礼上の握手や酔客の開放のために必要な限度での接触を行う行為
わかりやすい例を挙げてみると、お客さんの隣に座ってお酒を提供するキャバクラは風俗営業許可が必要で、カウンター越しで接客するガールズバーは風俗営業許可が不要です。
風俗営業許可申請業務について
風俗営業許可申請業務は、許認可申請の中でも古くから行政書士が手掛ける仕事です。
下記の項目で詳しく解説していますが、風俗営業許可申請業務では許可申請に必要な主な書類を作成したり申請時の同行をしたりします。
風俗店を営業できるのかどうか確かめるために、現地調査や店舗の測量を行うのも行政書士の風俗営業許可申請業務ですよ。
行政書士は、社交飲食店(キャバクラ)や特定遊興飲食店(クラブ)の開業を考えている経営者をサポートする風俗営業許可申請業務を行っています。
行政書士が行う風俗営業許可申請の手続きの流れ
店舗開業者や企業経営者の立場に立ってみると、行政書士に風俗営業許可申請を依頼すれば正確にかつ迅速に手続きができます。
自分で申請するのとは違い、「法律的な視点から手続きを確認できる」「申請の手戻りや再申請のリスクが低くなる」「時間的なロスを防げる」などのメリットあり!
具体的に行政書士はどのような流れで風俗営業許可申請の手続きを行うのか見ていきましょう。
- 問い合わせ:依頼者からの電話やメールでの問い合わせに対応し、お問い合わせ内容を確認して面談日の設定などを行う
- 現地調査:申請場所から半径100m以内の建物の調査を行い、風俗営業許可を取得できるか否かを判断する
- 店舗の測量:「店舗の形状」「店舗の構造」「防音設備の状況」をチェックし、お店の寸法を測量して平面図や面積計算表を作成する
- 各種書類の取得:風俗営業許可申請書や登記されていないことの証明書、住民票や身分証明書を代理で取得する
- 申請書類の作成:依頼者からの情報を照らし合わせて、風俗営業許可申請書や営業の方法を記載した書類などを作成する
- 申請に同行:風俗営業許可申請時に同行し、不備があった時に訂正したり公安委員会の担当者と行う面接のアドバイスをしたりする
- 検査の立会い:申請書が受理された後は、図面通りの構造や設備であるかの確認や店舗の調査に立ち会う
- 許可証の交付:所轄警察署の担当者より許可の連絡が入り、風俗営業の許可証が交付される
各都道府県で異なりますが、風俗営業許可が下りるまでの日数は申請日からおおよそ50日~60日程度です。
東京都では原則55日で、場合によっては早く許可が下りることもあります。
風俗営業許可申請に必要な書類
風俗営業許可申請には次の書類が必要です。
・風俗営業許可申請書
・営業の方法
・住民票の写し
・欠格事項に該当しない旨の誓約書
・誠実に業務を行う旨の誓約書
・身分証明書
・登記されていないことの証明書
・営業所使用権原を証明する書類(賃貸契約書の写し、営業所の使用承諾書、建物登記簿謄本)
・違法建築物でない旨を疎明する書類
・用途地域を証明する書類
・各種図面(営業所周辺の概略図、営業所の配置図、求積図、照明・音響・防音設備の配置図)
・飲食店営業許可書の写し
・料金表・メニュー表の写し
メインの書類は風俗営業許可申請書ですが、他にも用意しないといけないものがたくさんありますね。
法人の許可申請に関しては、更に次の6つの書類も必要です。
・定款
・登記簿謄本
・役員に係る住民票の写し
・役員に係る身分証明書
・役員の登記されていないことの証明書
・役員の誓約書
風俗営業を始めるに当たり、書類を集めたり作成したりするのが面倒だと考えている経営者は多いのではないでしょうか。
かなり煩わしい手続きですので、風俗営業許可申請は行政書士への依頼がおすすめです。
風俗営業許可申請業務におけるポイント
行政書士が風俗営業許可申請業務を行うに当たり、いくつか注意すべきポイントがあります。
風俗営業許可申請業務における一つ目のポイントは人的基準です。
風営法4条第1項では、下記に当てはまる方は風俗営業許可を受けられないと定められています。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑の執行を終わり、執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
- アルコールや大麻、麻薬や覚せい剤の中毒者
- 風俗営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
風俗営業許可申請を行う前に、依頼者との面談で取得の要件を満たしているのか確認しないといけません。
風俗営業許可申請業務の二つ目のポイントは場所的基準です。
風俗店を営業できるのは基本的に繁華街で、一定の距離内に次の保護対象施設があると申請が却下されます。
- 学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学)
- 図書館
- 児童福祉施設
- 病院(歯科医院を含む医療施設で病床が20以上)
- 診療所(歯科医院を含む医療施設で病床が19以下)
都道府県によって細かいルールがありますので、事前に確認しておきましょう。
最後のポイントは風俗店の営業時間に関する基準です。
風営法第13条第1項では、風俗店の営業時間は午前0時(場所によっては午前1時)を超えてはいけないと決められています。
ガールズバーが午前0時を超えても営業しているのは、風営法ではなく深夜酒類提供飲食店営業開始届出を取得しているのが理由ですね。
条例によっては営業時間の延長が認められていますので、行政書士が依頼者の地域の情報をしっかりと押さえておいてください。
風俗営業許可申請業務の報酬の相場は?
行政書士の風俗営業許可申請業務の報酬は、1件当たり30万円前後が相場です。
1号営業なのか2号営業なのかで違いますが、風俗営業許可申請業務は高い報酬が見込めますよ。
以下では、代表的な行政書士事務所を例に挙げて風俗営業許可申請業務の報酬(費用)を比較してみました。
行政書士事務所 | 1号営業 | 2号営業 | 3号営業 | 5号営業 |
---|---|---|---|---|
行政書士やまと総合法務事務所 | 216,000円~ | 216,000円~ | 216,000円~ | 216,000円~ |
國井行政書士法務事務所 | 210,000円~ | 315,000円~ | 210,000円~ | 210,000円~ |
行政書士中村敏夫事務所 | 150,000円~ | 150,000円~ | 150,000円~ | 150,000円~ |
貴村行政書士事務所 | 200,000円~ | 200,000円~ | 200,000円~ | 300,000円~ |
他の許認可申請業務と同じで、風俗営業許可申請業務も行政書士自身で報酬額を設定できます。
風俗営業許可申請手続きが終わった後も、公安委員会への届け出の変更承認や手続きのアドバイスなど行政書士ができる業務は多種多様です。
依頼者がリピーターになれば継続的に業務の依頼が来ますので、コンスタントに売り上げを伸ばすことができるでしょう。
風営法の直近の改正について
風営法は今までに何度も改正されています。
ここでは、2016年6月23日に施行された風営法の改正についてまとめてみました。
- 客にダンスをさせる営業に関して規制の範囲や内容の見直し:ダンス教室やダンスホールの営業は規制から除外された
- 新たな分類の許可業種「特定遊興飲食店営業」の規定整備:客席の照明が10ルクス以上で深夜営業と酒類提供の両方で風営法の対象になる
- 良好な風俗環境を保全するための規定の整備:「店舗周辺における客の迷惑行為の防止措置」と「苦情処理に関する帳簿の備付け」が規定された
- 風俗営業時間の緩和:以前は風俗店の営業時間が最長午前1時だったが、条例で営業時間を延長できるようになった
- ゲームセンターへの18歳未満の者の立入り制限に関する見直し:16歳未満は保護者が同伴していれば22時まで滞在できる
上記の改正風営法の中でも、ダンス営業の見直しは大きな変更点です。
今後も風営法は細かく変更や改正がされると予想できます。
参考:風営法の改正で、夜のまちはどう変わるのか https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00461/
まとめ
行政書士の風営法に関する業務や風俗営業許可申請についておわかり頂けましたか?
「法律の解釈をわかりやすい言葉で説明できる」「依頼人の身になって言葉を選べる」という行政書士は、風俗営業許可申請業務に向いています。
風俗営業許可申請業務の需要がなくなることはありませんので、コンスタントに収入を得られること間違いなしです。
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