業務分野のコラム

行政書士の帰化申請業務とは?

行政書士の帰化申請業務

行政書士の帰化申請業務の概要

行政書士は国民にとって身近な街の法律家で、官公署に提出する書類の作成や手続きの代理を行います。

行政書士を一言で表すと「官公署に提出する書類や権利関係の書類作成のプロ」ですが、実際に行う業務内容は幅広いのが特徴的ですね。

帰化申請業務は、行政書士が行える業務内容の一つ!

「日本で生まれ育っている」「日本人に住み続けたい」という外国籍の方の中には、日本の国籍取得を希望する人もいます。

そのような場合に法務局を窓口とした帰化申請の手続きが必要で、行政書士が得意とする業務です。

以下では、行政書士の帰化申請業務の概要をまとめてみました。

  • 行政書士が帰化申請人と法務局の間に入り、訪問回数を最小限に減らして申請受理の手続きを進める
  • 帰化申請手続きで必要な書類を収集し、各役所で対応して代理で取得する
  • 「帰化許可申請書」「親族の概要」「帰化の動機書」などの帰化申請における一式書類を作成する
  • 帰化申請において重要な情報を全て精査し、不利な情報を見つけて申請人に警告して対策を練る

帰化申請の手続きは書類が多かったり役所に何回も足を運んだりと、外国籍を持つ方にとって大きな負担になります。

そんな時に行政書士の出番で、書類の作成や内容の精査で安全な帰化申請をサポートしているわけです。

帰化とは?

帰化とは、外国人からの意思表示に対して法務大臣の許可で日本の国籍を与える制度を指します。

日本国籍への帰化は、日本国民以外の外国人が日本国籍を取得することです。

一口に帰化と言っても、次の3つの種類に大きくわけられます。

帰化の種類
普通帰化 20歳以上で5年以上日本に住んでいる方が対象で、最もベーシックな形式の帰化
簡易帰化 20歳未満でも取得可能で、普通帰化よりも住所要件や生計要件などの条件が緩和されている
大帰化 日本に特別の功労のある外国人に対して国会の承認を得て帰化を許可する制度(未だに例なし)

大帰化は日本国に対する功労者にプレゼントされる帰化ですので、かなり特殊な制度ですね。

そのため、外国人が日本に帰化する場合は、「普通帰化」や「簡易帰化」を取得する形になります。

原則的に国籍は一つしか持てないので、帰化して日本国籍を取得すると今までの国籍を手放さないといけません。

帰化と永住の違い

「帰化と永住は一緒なのでは?」とイメージしている方は多いのではないでしょうか。

どちらも期間の制限なく日本に在留できる点では一緒ですが、帰化は日本の国籍取得なのに対して永住は外国籍のまま日本に永住する権利です。

以下では、帰化と永住の違いを複数の項目で比較してみました。

項目 帰化 永住
目的 日本人と同じ権利 日本に永住できる
国籍 日本(日本人と同等の権利を持つ) 外国籍(日本人と同等の権利はなし)
戸籍 役所へ届ければ取得できる 自分の戸籍は取得できない
参政権 参政権(選挙権・被選挙権)がある 一部の自治体を除いて参政権はなし
日本在留の手続き 帰化が許可された後は一切なし 外国人登録や再入国許可手続きが必要
退去強制処分 適用なし 適用あり
出国 日本のパスポート持参 母国のパスポート持参

日本に一生住み続ける方は帰化、仕事やプライベートで何度も帰国する方は永住がおすすめです。

それぞれメリットとデメリットに違いがありますので、どちらを取得すべきなのか考えてみてください。

帰化の要件

外国人であれば誰でも日本に帰化できるわけではありません。

帰化の一般的な条件は次の6つです。

  • 住所条件(国籍法第5条第1項第1号):帰化を申請する時まで引き続き5年以上日本に住んでいる
  • 能力条件(国籍法第5条第1項第2号):年齢が20歳以上で本国の法律によっても成人の年齢に達している
  • 素行条件(国籍法第5条第1項第3号):素行が善良(犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無)
  • 生計条件(国籍法第5条第1項第4号):生活に困るようなことがなく日本で暮らしていける
  • 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号):無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍の喪失が必要
  • 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号):日本の政府を暴力で破壊することを企てたり団体を結成したりする者は帰化が許可されない

参考:帰化の条件には,どのようなものがありますか?(法務省) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji78.html#a09

上記の項目でも少し解説しましたが、日本人と一定の身分関係がある人に限定された簡易帰化は要件が緩和されます。

外国人が帰化するメリットとデメリット

日本では、毎年9,000人近くの外国人が帰化申請をしています。

年度 帰化申請件数 許可件数 不許可件数
平成25年 10,119名 8,646名 332名
平成26年 11,337名 9,277名 509名
平成27年 12,442名 9,469名 603名
平成28年 11,477名 9,554名 607名
平成29年 11,063名 10,315名 625名
平成30年 9,942名 9,074名 670名

年度で違いはありますが、毎年80%~90%の確率で帰化申請の許可がもらえるとのデータが出ていました。

外国人が日本に帰化するに当たり、どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。

<外国人が日本に帰化するメリット>

  • 日本の名前を持つことができる(言われなき差別を防げる)
  • 日本戸籍を持ち、夫婦で同じ戸籍に入ることができる
  • 社会保障面(年金・保険・教育・福祉)で日本人と同じ権利を持てる
  • 在留資格の更新手続きの煩わしさから解放される
  • 日本のパスポートの取得で多くの国にビザなしで渡航できる
  • 参政権(選挙権・被選挙権)を得ることができる
  • 住宅ローンや自動車ローンなど金融機関からの融資が受けやすくなる
  • 日本人と結婚する際に手続きが簡単になる

 

<外国人が日本に帰化するデメリット>

  • 日本では二重国籍を認めていないため、元の国籍は喪失する(再び取得するのが難しい)
  • 日本人としての扱いになるため、母国に帰省する際にビザが必要になる
  • 相続の際に適用される法律に注意が必要(日本の法律と母国の法律との違い)

 

「日本で生まれ育った」「家族で帰化したい」「日本人と結婚する」という理由で、帰化申請する外国人が増えています。

母国の国籍を失うのは心の問題として残ると思いますが、外国人の方にとって日本に帰化するのは十分にメリットがあるわけです。

行政書士が行う帰化申請の手続きの流れ

行政書士が行う帰化申請業務は、帰化申請書類の作成や精査、法務局担当者と行う事前面談への同行です。

依頼者からの帰化申請に関する相談に乗るのも行政書士の業務として欠かせません。

以下では、行政書士が行う帰化申請の手続きの流れをまとめました。

  1. 相談:依頼者から帰化申請に関する相談を受けて疑問や問題点を解決し、契約内容に合意した後に業務を始める
  2. 法務局担当者と事前面談:依頼者の居住地を管轄する法務局に面談の予約を行い、依頼者と一緒に出向いて事前面談を受ける
  3. 書類の取得や作成:法務局から指示された必要書類を収集し、依頼者と相談しながら書類を作成する
  4. 国籍離脱:事前に国籍離脱が必要な場合は法務局から連絡があるため、国籍離脱した旨の証明書を申請の際に提出する
  5. 法務局へ申請:依頼者本人が法務局に出向いて作成した申請書類を提出する(15歳未満の場合は法定代理人が代わりに提出)
  6. 法務局で面談:帰化申請の書類が受理されると法務局で面談が行われる(行政書士は同行できないので事前にアドバイスする)
  7. 結果の通知:法務局から許可や不許可の通知が来る。帰化申請が許可されると帰化者の身分証明書が発行されて官報に告示される

 

帰化申請の手続きの過程で、行政書士は法務局担当者との事前面談に同行できます。

しかし、申請書類が受理された後の面談は同行できません。

依頼者の帰化申請が許可されて日本国籍を取得した後も次の手続きが必要です。

  • 法務局から身分証明書が交付された後に市区町村役場へ帰化届を提出する
  • 外国人登録証明書返納届と一緒に市区町村役場に外国人登録証明書を返納する
  • パスポートの返還や運転免許証、不動産登記簿を変更する

手続きには期限が設定されているものもありますので、行政書士がしっかりとサポートしましょう。

帰化申請に必要な書類

帰化申請の手続きに必要な書類は下記の通りです。

・帰化許可申請書(写真貼付 5㎝×5㎝正面脱帽)
・親族の概要(日本・外国)
・履歴書
・国籍および身分関係を証する書面
・パスポートのコピー
・出生届記載事項証明書
・死亡届記載事項証明書
・婚姻届記載事項証明書
・離婚届け記載事項証明書
・日本の戸籍謄本
・住民票
・生計の概要
・事業の概要
・在勤及び給与証明書
・在学証明書・成績証明書(学生の場合)
・生徒手帳・学生証・通知表(成績証明書)などのコピー
・帰化の動機書(特別永住者は必要なし)
・宣誓書
・申述書
・国籍離脱・放棄等の宣誓書(米・英・仏・比・加・伯)
・在留カード・特別永住者証明書カードのコピー
・源泉徴収票
・住民税の課税証明書(1年分)
・年金保険料の納付証明書(1年分)
・運転記録証明書(運転免許証を持っている場合)
・自動車等運転免許証のコピー
・最終学歴の卒業証明書または卒業証書コピー
・技能及び資格証明書(資格を持っている場合)
・所有する全ての不動産の登記事項証明書
・賃貸借契約書のコピー
・自宅の略図
・勤務先の略図

参考:帰化申請に必要な書類について(可児行政書士事務所) https://www.office-kani.com/2019/07/26/2339/

帰化申請手続きでは、大量の書類を用意しないといけません。

更に「○○○○を用意すれば良い」と決まっているわけではなく、個人によって必要書類が異なりますよ。

書類収集や作成のやり直しが重なると、何度も法務局に行く必要あり…。

帰化申請が許可されるまでの期間も長期化しますので、専門家の行政書士に手続きを依頼すべきです。

行政書士の帰化申請業務におけるポイント

このページでは、行政書士が帰化申請業務を行うに当たって押さえておきたいポイントをいくつか挙げていきます。

  • 「日本の永住権を取得したいのか」「日本国籍を取得したいのか」と依頼者の希望をヒアリングする
  • 「日本人と結婚しているのか」「就労ビザで仕事をしているのか」「特別永住者であるか」など依頼者の生活状況を把握する
  • 法務局に提出する必要書類は正確に記入し、担当者との面談で矛盾がないように準備する
  • 申請書類が受理された後の面談は同行できないため、小学校低学年レベルの日本語の読み書きをアドバイスする
  • 帰化した後に元の国籍に戻るのは大変なので、依頼者の意思を確認したり家族との相談を促したりする

帰化申請は外国人の生活状況によって提出する書類や要件には違いあり!

書類に不備があると帰化申請は受理されないため、行政書士が依頼者である外国人の生活状況をきちんと把握しないといけません。

行政書士の帰化申請業務の報酬の相場は?

行政書士の帰化申請業務の報酬は、1件当たり15万円が相場です。

しかし、申請者の生活状況や職業で作成する書類が変わりますので、帰化申請業務の報酬も変わってきます。

以下では、行政書士事務所別で帰化申請業務の報酬(費用)を比較してみました。

行政書士事務所 会社員 会社経営者・個人事業主 同居家族1名追加
行政書士小林国際法務事務所 135,000円 145,000円 50,000円
アイ・ビー飛鳥行政書士法人 135,000円 145,000円 38,000円
ゆだ行政書士事務所 145,000円 210,000円 50,000円
行政書士城戸誠之事務所 200,000円 不明 不明
行政書士濱坂和子事務所 165,000円 220,000円 55,000円

行政書士事務所により、報酬額の設定に違いがあることがわかりますね。

また、同じ帰化申請業務でもプランで費用が異なるのが特徴的です。

例えば、アイ・ビー飛鳥行政書士法人では依頼者のニーズに合わせて、次の3種類の帰化申請サービスプランを用意しています。

  • 帰化申請ライトサポートプラン:書類の収集や作成、本国から日本語への翻訳は自分で行い、残りを行政書士に任せる
  • 帰化申請ミドルサポートプラン:帰化申請添付書類の収集は自分で行い、後は専門の行政書士に任せる
  • 帰化申請フルサポートプラン:帰化申請に必要な全ての手続きをプロフェッショナルの行政書士に依頼する

参考:報酬のご案内(アイ・ビー飛鳥行政書士法人) https://kikajapan.info/price/

行政書士は自分で事務所を開業すると、報酬額を自分で設定できます。

一昔前と比べると現在では国際結婚を考えている夫婦も多く、帰化申請を中心に行政書士が取り扱う業務の需要が増えました。

そのため、行政書士は帰化申請業務をメインに一定の収入を得ることができるでしょう。

まとめ

以上のように、行政書士の帰化申請業務は外国人が母国の国籍を喪失して日本国籍を取得する手続きのサポートを行う業務です。

帰化申請の手続きは想像を超える時間と労力が必要ですので、専門家の行政書士への依頼がおすすめ!

帰化申請は今後も需要が増えると予想できますので、行政書士にとって欠かせない業務の一つです。

 

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