行政書士の女性の割合はどのくらい?
受験者の割合は26~28%
「行政書士になる人は男性が多いのでは?」とイメージしている方はいませんか?
確かに全体的なデータを見ると行政書士の受験者数は男性が多いのですが、女性の受験生は増えています。
行政書士は性別や年齢に関係なく受験できますので、色々な人が目指しているわけですね。
以下では、女性の受験者の割合がどのくらいなのか近年のデータをまとめてみました。
総数:41,053人
男性:30,232人
女性:10,821人
総数:40,449人
男性:29,608人
女性:10,841人
総数:39,105人
男性:28,049人
女性:11,056人
参考:https://gyosei-shiken.or.jp/doc/exam/result/analytics.html
ちなみに、合格者の総数は平成28年度は4,084人、平成29年度は6,360人。そのうち、女性の行政書士試験合格者に関しては、平成28年度は912人、平成29年度は1,402人です。
ざっくり言えば、受験者の26~28%程度、合格者の22%程度が女性ということになります。
このように見てみると、確かに、男性が多い職業なのは間違いありません。
しかし、行政書士の仕事が女性に向かないのかというと、そんなことは決してありません。実際、大きな事務所を経営したり、大勢の顧客から指名されたりなどの大活躍をしている女性の先生も多くいます。
昔のように終身雇用が盤石ではない現代において、男性でも女性でも、年齢や性別等に関係なく、仕事を続けることができる専門資格の取得を目指す方は、今後も増えていくと考えられます。
行政書士が女性に向いている理由をまとめてみた
前項で見たとおり、行政書士における女性の割合はそこまで高くありません。
それでも、法律系の資格の登竜門とも言われている行政書士を目指す女性はいます。
このページでは行政書士が女性に向いている理由を説明していますので、「これから勉強を始めようかな・・・」と考えている方は参考にしてみてください。
専門性の高い仕事は性別に関わらず活躍できる
行政書士が女性でも活躍できるのは、専門性の高い仕事なのが大きな理由ですね。
全てを挙げるとキリがありませんが、行政書士は主に次の内容の業務を行います。
- 官公署へ提出する書類の作成
- 書類の作成に関する相談
- 代理人としての作成した書類の提出手続き
書類の作成や提出がメインの仕事で、行政書士に体力や腕力は必要ありません。
正しい知識と経験さえ持っていれば、力仕事が難しい女性でも行政書士として人々をサポートできます。
もちろん、行政書士事務所を独立開業する予定であれば行動力やフットワークの軽さは必要ですが、女性でも十分にこなせる仕事なのです。
専門的な職に就きたいと考えている女性にとって、行政書士の仕事は有力な候補の1つになるでしょう。
受験資格・研修期間が無く、独立開業のハードルが低い
多くの士業の資格では、受験資格が必要だったり、試験に合格しても一定の研修を受けなければ資格登録できなかったりします。
行政書士の場合、こうした縛りがないので、試験に合格さえすれば、費用を掛けずにすぐに自宅で開業することも可能です。
たとえ資金が潤沢でなくても、コツコツ勉強して資格を取れば独立開業できる点が、まじめな方の多い女性に向く点だといえるでしょう。
同性からの依頼を受けやすい
行政書士に相談する人は、年齢や性別に関係なく様々です。
「男性よりは同性の女性に依頼できたらな~」と考えている女性は少なくありません。
そのような女性に手厚いサポートができますので、女性の行政書士は同性からの依頼を受けやすいメリットがあります。
例えば、離婚問題や不倫問題など夫婦間の争いの案件は、女性同士の方が遥かに相談しやすいですよね。
個人的な事情に深く入り込んで問題を解決する形になりますので、同性の方が本音で話しやすくなります。
女性からの離婚相談は女性の行政書士がリクエストされるケースが多いため、これから先も資格取得を目指す方は増えていくでしょう。
子育てしながらでも働ける
行政書士の仕事は、結婚した女性が子育てをしながらでも働くことができます。
以下では、結婚後や出産後の女性に行政書士が向いている理由をいくつか挙げてみました。
- 自宅で働くことができる(駅前などの好立地な場所に事務所を構えなくても良い)
- 家事や子育ての空いている時間を活用し、顧客との面談や書類作成の業務を行える
- 無理なくマイペースで働き続けることができる
正社員として働き、出産・子育てと仕事を両立させるのは簡単なことではありません。
しかし、行政書士の資格を持っていれば自宅で開業し、主婦をしながら独立することもできますので、子育てしながらも働きたい女性にピッタリです。
生涯有効な資格である
子育ての話とも関連しますが、女性の場合、若い頃キャリアを積んでも一時期家庭優先にせざるを得ないケースなどもあり、キャリアの継続が男性よりも難しい傾向にあります。
さらに育児などが一段落し、キャリアを再開させようにも、一般の求人では、なかなか希望の職に就けないことがあります。
そんな時に役立つのが、専門スキル・資格です。
行政書士の資格は一度取得すれば、生涯有効な資格です。有効期限や更新手続きなど一切ありません。さらに、活動を休止する間だけ資格登録をしないことで年会費などの支払いも不要となります。
育児が一段落してから資格登録を再開して本格的に活動してもよいですし、専門能力や資格をアピールして就職をすることもできます。さらには、定年退職後に開業することも可能であり、老後の生活の不安もなくなるでしょう。
このように、生涯のキャリアが分断されがちな女性に対し、行政書士の資格は一生使える武器となります。生涯に渡ってやりがいのある仕事ができ、一定の収入(年収)を担保できる手段として、女性の強い味方である、といえるでしょう。
女性の行政書士が依頼人から高評価されている
女性に行政書士が向いているのは、依頼人から高評価されるケースが多いことも挙げられます。
個人によって違いはあるものの、一般的に、女性には以下のような強みがあります。
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 様々な案件について柔らかい対応をしてくれる
- 真面目に仕事に取り組んでくれる(特に正確な書類作成を行ってくれる)
もちろん、きちんと活動されている男性の行政書士の方も多いですが、少なくとも女性には上記のようなイメージがあることも事実で、戦略的に差別化しやすいとも言えます。
公的文書や書類作成が多い行政書士の仕事においては、上記のような強みを発揮し、男性よりも高い評価を受けることで活躍している女性の方も多いのです。
女性が行政書士になる上で押さえておきたい注意点
一昔前は女性の行政書士が珍しかったので、怪訝な反応をされるケースが稀にありました。
しかし、今現在では「女性の行政書士に相談したい」という依頼人が増えています。
離婚問題を中心に同性の方が相談しやすい案件はありますので、女性の行政書士も活躍できるわけです。
とは言え、男性とは違った弱みもいくつかありますので、女性が行政書士になる上で押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
- 基本的に事務作業がメインだが、顧客の元に往訪したり官公署をまわったりと体力面で男性と比べると劣る
- 独立開業している場合は、事業主として営業活動を行ったり他士業者との交流会に参加したりと男性にも負けないパワーで積極的に自分を売り込むことも必要
- 子育てしながらでもマイペースで働けるが、依頼人の満足度を高めるには顧客を最優先に考えないといけない
仕事ではなく家事や子育てを優先したい女性は、独立開業ではなくアルバイトやパートで時間を区切って行政書士として働くのは選択肢の一つです。
同じ行政書士でも女性によってベストな働き方は違いますので、自分のライフスタイルを加味して決めてください。
さらなるキャリアアップを目指す女性には、ダブルライセンスの道もある
行政書士は「官公署へ提出する書類の作成/提出」「権利関係の書類の作成」など、主に様々な書類作成の業務が専門です。
さらに、関連する分野の別の資格を取得してダブルライセンスとなれば、あなたの専門分野が広がり、仕事の幅が増えたり、あなた自身の差別化に繋がることでしょう。
行政書士のダブルライセンスとして相性が良いものには、以下の資格があります。
- 司法書士:不動産登記や会社設立登記など、登記について独占業務を持っているため、行政書士とのダブルライセンスで「会社設立をワンストップでサポートできる」などのメリットがある。
- 社会保険労務士:人事労務関係で役所に提出する書類を作成代行したり、就業規則や賃金台帳など人事に関わる書類作成の専門家なので、ダブルライセンスがあれば、クライアントの人事方面にも支援できる
- 中小企業診断士:経営コンサルタントの国家資格であり、ダブルライセンスがあれば、クライアントの経営支援も行える
行政書士とのダブルライセンスについて詳しくは、以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
行政書士は男性だけの士業ではなく、女性でも活躍している人はいます。
女性の行政書士の受験者数は全体の約26~28%を占めており、今では決して珍しくありません。
離婚問題や不倫問題を中心に、同性からの依頼を受けられる女性の行政書士は今後もニーズがあります。
女性が行政書士として立派にやっていける理由はたくさんありますので、「自分は女性だから・・・」と諦めずに試験の合格を目指してみてください。
この記事の監修者 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |