一般コラム

行政書士の年齢層別に成功するポイント!年齢構成は?何歳から受験できる?

行政書士の年齢層

行政書士試験の受験資格に年齢は関係なし!

これまで、学生の方に

「行政書士は何歳から目指すことができますか?」

と聞かれたことがあります。特に、公務員試験を目指す学生の方から、そのような質問を受けることが多かった印象があります。

結論から言えば、行政書士試験には年齢制限なし!

行政書士の資格試験は、「年齢」「性別」「学歴」「国籍」に関係なく誰でも受験できます。

国家公務員試験などでは下記のように年齢上限や学歴が設定されていますので、行政書士試験にも年齢制限があると考えたのでしょうか。

国家公務員試験 年齢上限 学歴
国家総合職 30歳 大卒程度
国家一般職 30歳 大卒程度
法務省専門職員 40歳 社会人
衆議院総合職 30歳 大卒程度
参議院総合職 27歳 大卒程度

参考:公務員試験の年齢制限 https://90r.jp/nenrei.html#kokka

行政書士試験の場合は、60歳でも中卒でも受験資格が設定されていません。

行政書士試験に学歴が不要な点についてはこちら!

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年齢や学歴に関係なく、また大学や高校に在学中の学生でもOKと、誰でもチャレンジできるのは行政書士の良いところですね。

行政書士試験の受験者の年齢層別(年齢構成)データ!

行政書士試験の受験者のデータを見てみると、様々な年齢層の方が受けていることがわかります。

「定年後、これまで自分が仕事で培ってきた経験と知識を、行政書士に活かそう」と考える60代の方も決して少なくありません。

以下では、2018年度行政書士試験の年代別エントリー数の割合をまとめてみました。

年齢 割合
10代 1.4%
20代 17.3%
30代 23.6%
40代 26.9%
50代 20.5%
60代以上 10.3%

参考:2018年度行政書士試験の年代別エントリー数(Yahoo!ニュース) https://news.yahoo.co.jp/byline/takeuchiyutaka/20191101-00149059/

10代の受験者は少ないのですが、20代以上はほぼバランス良く年齢層が推移しています。

40代以上の行政書士試験のエントリー数は57.7%と過半数を占めていますので、「行政書士=若い人の受験が多い資格」というわけではないのです。

行政書士として活動している人の年齢層は高齢化の傾向あり!

各士業は、「弁護士は裁判に関すること」「税理士は税金に関すること」と大まかな取り扱い分野が決まっています。

一方で行政書士の場合は、活動範囲や守備範囲がとても広いのが他の資格との違いです。

あらゆる場面で活躍できる行政書士ですが、現在では高齢化の傾向があります。

日本行政書士連合会が2018年に発行したデータでは、行政書士として働く人の年齢層は次のようになりました。

年齢 人数 割合
20歳~30歳 33人 0.8%
31歳~40歳 347人 8.0%
41歳~50歳 752人 17.3%
51歳~60歳 776人 17.9%
61歳~70歳 1,543人 35.6%
71歳以上 864人 19.9%
未回答 23人 0.5%

参考:月刊日本行政10月号(日本行政書士連合会) https://www.gyosei.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/6db0383e3fae0742beb8450da60a76d4.pdf

71歳以上の行政書士の割合が19.9%というデータは驚きです。

行政書士の半分くらいは高齢者で占めていますので、高齢化が進んでいる現状はおわかり頂けるのではないでしょうか。

行政書士の高齢化が進んでいるのは、サラリーマンのように退職制度がないのが理由です。

70歳でも80歳でも行政書士の資格登録をして、書類の作成や提出の代行手続きを行うことができます。

近年では規制緩和の影響で許認可申請の一部は郵送による請求が認められて、IT化も進みました。

パソコンさえ使えれば行政書士の仕事が以前よりも遥かにしやすくなっていますので、高齢化が進んでいると考えられます。

体力のない高齢者でも行政書士として働けるため、50代や60代から試験合格を目指すのは決して珍しいことではありません。

行政書士の合格者の年齢層は30代~40代が多い!

「行政書士の受験資格に年齢制限がないのはわかったけど、今の年齢から受験して本当に合格できるの?」と不安に感じる方もいるでしょう。

そこで、平成30年度と令和元年度の行政書士試験で、合格者の年齢別構成がどうなっているのか見ていきましょう。

試験年度 10代 20代 30代 40代 50代 60代以上
平成30年度 553人 6,778人 9,223人 10,524人 8,004人 4,023人
令和元年度 547人 6,733人 9,010人 10,720人 8,387人 4,424人

このデータを見てみると、行政書士試験の合格者は30代~40代が多いことがわかります。

50代や60代になってから行政書士試験にチャレンジし、合格できる人も多い傾向あり!

一般企業で定年を迎えた後に行政書士の資格を取得し、独立開業する方も現在では増えました。

つまり、行政書士に年齢は関係ないため、「今の年齢から勉強を始めても遅すぎる…」といったことはありません。

全ての行政書士が同じように稼げるわけではないものの、30代でも60代でも行政書士として働きたいと考えているのであれば、試験にチャレンジする価値は十分にありますよ。

行政書士事務所への就職や転職では若い年齢層が有利!

行政書士として活躍するに当たって年齢はあまり関係ないと上記では解説しましたが、行政書士事務所への就職や転職は違います。

一般的なサラリーマンと同じように、行政書士事務所への就職や転職は年齢が若ければ若いほど有利です。

行政書士試験の受験者には中年~壮年の方も多いですが、実際に業務を覚えるためには行政書士事務所等に勤務して実務の経験を積むことが一番です。

しかしながら、多くの行政書士事務所の採用は事実上、ある程度以上の年齢の方は雇用しない方針を取っています。そのため、30代後半にもなると行政書士事務所への就職や転職は難しいといえます。

行政書士事務所の募集件数が少ないこともあってすぐに定員オーバーになりやすいため、行政書士の資格を持っていても就職や転職が一気に有利になるわけではありません。

とは言え、今までに行政書士実務の経験があれば、その職歴内容次第では、30代や40代でも行政書士事務所に転職できます。

逆に全くの未経験だと、士業事務所の場合は特に行政書士の資格を持っていて年齢が若くても断られるケースがあると心得ておきましょう。

行政書士の年齢層別で成功するポイント!

このページでは、行政書士の年齢別で成功するポイントについて解説していきます。

どの年齢でも行政書士試験を受験できますが、資格を取得した後の働き方は変わってきますので参考にしてみてください。

年齢層別戦略① 20代で行政書士の資格を取得した

就職活動に役立てたり将来を見据えたりして、20代で行政書士試験を受験する方は増えました。

20代で行政書士試験に合格している若者はいますが、すぐに資格を活かして独立開業する方法はおすすめできません。

独立開業では実務経験がとても大事ですので、「20代という若さで行政書士に合格できた」というアドバンテージを活かして行政書士事務所への就職や転職を検討してみましょう。

行政書士事務所ではなく、一般企業に就職したり転職したりするのも選択肢の一つです。

一般企業の中では、建設業など、将来主要な顧客としたい業種に就職するのも有望な戦略です。

顧客企業の業務を実務レベルで知っておくことは大切ですし、ネットワークを作っておくことも重要です。

一方で、「若いうちに資格を取得したのだから、早く行政書士になって経験を積みたい」という意見もあると思います。

ただ、ある程度は一般企業や社会を経験せずに「行政書士の世界しかしらない先生」になってしまうのはリスクが大きいと考えています(個人的な意見です)

ですので、同じ20代でも、ある程度一般企業や行政書士事務所で勤務経験があるのなら、資格を取ってすぐ行政書士として活動するのもアリでしょう。

行政書士になる前の業務経験が大きな強みになることも多々ありますから、よく戦略を練って欲しいと思います。

若いうちに建設業・不動産業を経験し、行政書士の他、宅建も取得するのもさらにおすすめです。宅建絡みの申請業務も、かなり需要がありますよ。

建設業に関する業務については、下記の記事も参考にしてください。

https://gyousei-fight.com/gyousei-kensetsu/

 

年齢層別戦略② 30代~40代で行政書士の資格を取得した

30代~40代で行政書士の資格を取得しても、転職で大幅に有利になることはありません。

そのため、この年齢では行政書士の資格を活かして独立開業するのが一般的です。

行政書士事務所や士業事務所での実務経験が物を言いますが、今までに社会人としての経験や人脈が培われていれば独立開業の準備を始められます。

行政書士の知識をブラッシュアップさせたり開業資金を貯めたりと、念入りな準備をしてから独立するのが成功する上で押さえておきたいポイントです。

独立の成功確率を高めるために、差別化として中小企業診断士や社労士(社会保険労務士)などのダブルライセンスを狙うのも良いでしょう。

年齢層別戦略③ 50代~60代で行政書士の資格を取得した

行政書士は生涯に渡って働くことのできる資格ですので、50代~60代で取得するのは珍しいことではありません。

50代は早期退職も視野に入る年代ですので、セカンドキャリアとして行政書士の資格を活かして独立開業して活動することはできます。

退職金があれば資金面での不安がなくなるため、30代~40代と比べて独立しやすい年代だと言えるでしょう。

実際に60代以上で行政書士として働いている方も多いので、「今の自分の年齢では難しいのでは?」「もう活躍することはできないのでは?」と諦めなくても大丈夫です。

年齢が高くても、コツコツと学習を続けられる方ならば、決して難しい業務ではないでしょう。

行政書士の年齢層別で成功するポイント まとめ

行政書士の年齢層や年齢別で成功するポイントについておわかり頂けましたか?

年齢や学歴の受験資格が設定されていない行政書士試験は、10代でも60代でも受験できます。

しかし、「20代で実務経験がないと独立開業は早い」「40代を超えると転職が難しい」といった現状がありますので、今の年齢を加味して行政書士としての働き方を考えてみてください。

この記事の監修者
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション