行政書士におすすめのダブルライセンスはこれだ!どんなメリットがあるの?
行政書士の資格を持っていると、様々な業務と携わることができます。
難しい勉強で得られた知識は行政書士として働くだけではなく、日常生活の場面でも大いに役立つのです。
しかし、行政書士の資格だけで満足するのではなく、ダブルライセンスを目的に、他の資格を取得する手もあります。
行政書士と相性の良い資格を同時に取得することで、更に業務の幅が広がるのが大きなメリットですね。
今回は、行政書士におすすめのダブルライセンスをいくつか紹介していますので、自分の仕事内容と相性の良い資格が何なのか確認してみてください。
行政書士と司法書士のダブルライセンス
更なるスキルアップを目指す行政書士には、司法書士とのダブルライセンスがおすすめです。
行政書士と司法書士は官公署へ提出する書類等の作成や申請代理を行う共通点がありますが、書類の提出先には次の違いがあります。
- 行政書士の書類提出先は市役所や区役所、町役場や入国管理局
- 司法書士の書類提出先は法務局や裁判所、検察庁
つまり、双方の資格を取得してダブルライセンスになると、提出先に関係なく様々な書類を取り扱うことができる法的書類のプロになれるわけです。
行政書士事務所の中には、「〇〇司法書士事務所」「〇〇行政書士事務所」と2つの看板を掲示しているところがあります。
司法書士試験は標準勉強時間が1,400~3,000時間と難易度が非常に高い資格ですが、行政書士の方は「憲法」「民法」「商法」の3科目が重複していますので、今の知識を活かすことができるでしょう。
非常に難易度が高い資格ですが、その分、行政書士のダブルライセンスとしてはNO.1の相性の良さといえます。
書類作成のプロを目指す上でどちらも強力な資格になりますので、
関心を持たれたら、行政書士と司法書士のダブルライセンスを目指してみてください。
※司法書士とのダブルライセンスの詳細については、下記の記事も参考にしてください。
行政書士と社会保険労務士(社労士)のダブルライセンス
社会保険労務士(社労士)とは、人事や労務、年金問題を解決するスペシャリストです。
労務系や介護系に進出する際にこの資格を取得していると、大きな武器になります。
企業の経営者と接点を持ち、書類の作成や申請の代理を行うところが行政書士と社会保険労務士(社労士)の共通点ですね。
行政書士と社会保険労務士(社労士)は試験科目や内容は全く異なるため、試験勉強に関する相乗効果はありません。しかし、ダブルライセンスによって次のメリットがあります。
- 会社の立ち上げの初動に強い行政書士と会社の運営に強い社会保険労務士(社労士)で、職域を広げられる
- 会社を設立する際に行政書士で新規顧客開拓を行い、設立した後は社会保険労務士(社労士)としてサポートする理想的なビジネスモデルを組める
- 行政書士が解決できない介護系の業務でも、社会保険労務士(社労士)の資格でワンストップサービスが可能
専門性を高めて活躍できるフィールドを広げたい方には、行政書士と社会保険労務士(社労士)のダブルライセンスがおすすめです。
ただし、社労士は合格まで1,000時間程度必要な資格ですから、計画的な取得を考える必要があるでしょう。
行政書士と宅地建物取引士(宅建)のダブルライセンス
宅地建物取引士は行政書士と相性の良い資格の一つで、ダブルライセンスでスキルアップを目指す方は少なくありません。
宅地建物取引士とは、簡単に説明すると不動産に関する正しい知識や経験を積み上げたスペシャリストです。
不動産に業務を中心的に行う行政書士が宅地建物取引士の資格を持つと、農地法の許可や開発行為の許可申請の依頼を円滑に進めることができます。
遺言書作成や遺産相続の相談などの相続問題では不動産の売却が絡んできますので、宅地建物取引士の法的知識を役立てられるのです。
上記で紹介した司法書士や社会保険労務士(社労士)と行政書士のダブルライセンスは、ビジネスや業務の幅を広げる側面を持ちます。
一方で行政書士と宅地建物取引士のダブルライセンスは、今の分野や業務を更に深堀りできる組み合わせです。不動産業界や土地相続に強い専門家のイメージですね。
宅建の合格には平均300時間かかりますから、行政書士よりは受かりやすいイメージです。
宅建士の試験科目の中でも宅建業法と民法は特に重要ですので、行政書士の勉強で得た民法の知識を活かすことで、短期合格を目指せます。
行政書士とFP(ファイナンシャルプランナー)のダブルライセンス
FP(ファイナンシャルプランナー)は、お金に関する総合的な知識を持っている証明になる資格です。
税金や保険、年金や相続などマネーに関する幅広い分野に精通し、顧客やクライアントに対してコンサルティング業務をしていきます。
以下では、行政書士とFP(ファイナンシャルプランナー)のダブルライセンスがおすすめの理由をまとめてみました。
- 行政書士が取り扱う業務の遺言書や遺産分割協議書を作成する際に、FPの資格を持っているとお金に関する知識で穏便に処理できる
- 法人に対して事業継承のコンサルタントが可能で、行政書士の資格だけよりも業務領域を拡大できる
何かしらの事業をスタートするに当たり、最初の許認可において行政書士の資格が活きます。
更にFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も同時に持っていれば、事業が軌道に乗った後のマネーコンサルティングや資金繰りなどのトータルサポートも可能です。
資格取得の勉強においては、科目が被っていないため、イチから勉強を始める必要があります。
しかし、FP(ファイナンシャルプランナー)は、「3級」「2級」「1級」と三段階の資格にわかれており、3級であれば50~100時間程度の学習で取得できますので、
自身の力量に合わせて勉強に取り組みましょう。
行政書士と税理士のダブルライセンス
行政書士と税理士は相性の良い資格で、「〇〇税理士事務所」「〇〇行政書士事務所」と2つの看板を並べている事務所はあります。
税理士は税務に関するエキスパートで、税理士だけに許されている独占業務は次の3つです。
- 税務の代理(自己申告で納める税金を税理士が代理する)
- 税務書類の作成の代理(税務署に提出する税務申告の書類作成を代理する)
- 税務相談(納税額の計算や節税効果の算出など、税金に関するあらゆる内容の相談を受ける)
税理士資格を持っている方は、行政書士会に登録すると行政書士としても働くことができます。
つまり、税理士は行政書士の上位互換に当たる資格であり、すでに税理士資格を持っている方にとってはダブルライセンスの敷居は低いです。
一方、行政書士資格を持っていて、これから税理士資格を目指す方は、3,000時間ともいわれる長時間の勉強が必要になりますので、戦略的に取得する必要があります。
※場合によっては、1年以内での取得を目指せる「FP」「宅建」「中小企業診断士」などのほうが、ダブルライセンスとしては現実的かも知れません。
それでも税理士を目指したい場合は、まずは行政書士として事務所を開業し、業務をしながら細く長く税理士の勉強を続けることが望ましいでしょう。
時間はかかりますが、その分試験に合格して資格を取得して税理士の資格が取れれば、他の行政書士と大きな差別化が図れることになります。
行政書士と税理士のダブルライセンスについては、下記の記事も参考にしてください。
行政書士と中小企業診断士のダブルライセンス
中小企業診断士は企業の運営に切り込んで改革や改善を行う専門家で、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。
個人ではなく法人を得意先としている行政書士には、中小企業診断士とのダブルライセンスが適しています。
行政書士と中小企業診断士の両方の資格を持っていると、次の流れでビジネスを進めることが可能です。
- 会社設立の初動として行政書士の資格を活かして開業をサポートする
- 許認可や設立の時点で会社の経営層と接点を持つことができる
- その企業と顧問契約を結び、中小企業診断士の資格を活かして経営コンサルタントを行う
会社設立の手続きをワンストップで行っている行政書士事務所では、中小企業診断士の資格が役立つでしょう。
2つの資格の試験科目は会社法が重なるため、多少は勉強時間を短縮できます。
とはいえ、中小企業診断士は合格まで1,000~1,200時間程度は必要な資格のため、ダブルライセンスを目指すのであれば、長期的な戦略が必要になるでしょう。
行政書士と個人情報保護士のダブルライセンス
現代は、個人情報の取り扱いを最重要視しなければならない時代です。
不適切な個人情報の流出により、超大手企業でさえ企業存続が危ぶまれる事態に陥る事案が多く発生しています。
そのため、「個人情報保護士」の資格を保持していれば、クライアントからの信頼獲得に大きな貢献ができるでしょう。
個人情報保護士の資格自体は、20時間も勉強すれば合格できる難易度の低いものです。
しかし、
「この行政書士は、個人情報の適切な取り扱いができる資格を持っている」
とクライアントを安心させる効果の大きさは、計り知れません。
行政書士試験の科目と被りはありませんが、少しでも時間があれば取っておいて損はない資格です。
行政書士の受験生は文系の方が多く、理系の科目に苦手意識を持つ人も多いと思います。そんな方におすすめできるのが「理科検定」です。
「理検」理科検定(実用理科技能検定)は理科の学習者を積極的に顕彰・評価し、日常生活に役立つ科学的な知識やものの見方を高め、次代を担う技術や地球環境の維持に必要な基礎力を養います。
行政書士のダブルライセンス <まとめ>
以上のように、行政書士と相性の良い資格がたくさんあるとおわかり頂けたのではないでしょうか。
行政書士が「司法書士」「社会保険労務士(社労士)」「宅地建物取引士」「FP(ファイナンシャルプランナー)」「税理士」「中小企業診断士」「土地家屋調査士」「測量士補」「個人情報保護士」のダブルライセンスを目指すと、ビジネスの幅が大きく拡がります。
もちろん、全ての資格を取得するのは不可能ですので、自分の業務や目指す事務所の形態を加味してダブルライセンスの資格を選んでみてください。