行政書士が行う外国人の入管業務についてまとめてみた
入管とは入国管理局の略称で、法務省に設置されている出入国管理行政を行う機構(部局)です。
「日本における出入国管理」「在留管理」「外国人材の受け入れ」など、出入国管理行政に関わる、あらゆる業務を管轄していますね。
全国に8か所の地方入国管理局、7か所の支局、61か所の出張所から構成されています。
現在、労働人口減少や少子高齢化により、わが日本では外国人の労働力が今まで以上に必要になりました。
その影響もあって、行政書士が行う入管業務のニーズが高まっています。
外国人のサポートを専門的に行う行政書士事務所も多く、依頼人からの仕事の一つが入管業務です。
具体的に行政書士の入管業務で一体何をするのか見ていきましょう。
- 外国人が日本に入国するために必要な書類の作成や提出
- 外国人の学生が卒業した後に、日本の企業に就職する際の在留資格の変更手続き
- 日本に永住している外国人の相続問題や起業した方の事業承継の問題のサポート
外国人が入国する際の手続きだけではなく、在留中の外国人へのサポートも入管業務では行っていきます。
入国やビザの申請は、入国管理局で定められた資料や証明書を揃えないといけません。
個々によって抱えている問題も違いますので、法律の専門家である行政書士の出番というわけです。
※なお、一般に言われている「ビザ申請」は、正しくは「在留資格などの申請取次」のことです。行政書士志望の方は、正しい意味を押さえておいたほうが良いでしょう。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
行政書士に入管業務を依頼するメリット
依頼人の立場に立ち、行政書士に入管業務を依頼するメリットをまとめてみました。
- 自分がどのような在留資格(ビザ)に当てはまるのか、何の書類を用意しないといけないのか調べる手間を省くことができる
- 必要な書類を全て集めて、平日の日中に入国管理局に出向いて手続きをする時間を削減できる(混雑している時は待ち時間が長くなる)
- 書類に何かしらの不備があると、訂正してもう一度入国管理局に出向く手間を省くことができる
外国人が自分で在留資格(ビザ)を申請するとなると、多大な時間を費やすこともあります。
用意する書類にしても、「○○○で合っているのか?」「書き方は間違っていないか?」「コピーでも大丈夫なのか?」「印鑑は必要なのか?」と様々な疑問がわき上がってくるでしょう。
しかし、行政書士に入管業務を依頼すれば、面談を通じて書類の作成や申請を行い、許可される確率を想定してサポートしてくれますよ。
入管業務を行う行政書士の魅力
今度は行政書士の立場に立って、入管業務の魅力をいくつか見ていきましょう。
- 日本に住んでいる外国人に大きなメリットがあるため、行政書士の入管業務のニーズが高まっている
- 外国人の活動をどのように広げたり暮らしをどうサポートしたりするのか考えるやりがいのある仕事
- 専門家として手厚いサポートを行うことで、リピーターになってくれることも多い
日本に住んでいる外国人をサポートするやりがいのある仕事ですので、これから行政書士を目指す方は入管業務を専門的に取り扱うのは選択肢の一つです。
行政書士として入管業務でできること
入管の手続きは、他の許認可申請と同じで原則的には本人申請です。
しかし、申請取次制度の利用で本人以外の者が取次できますので、行政書士の入管業務で代わりに書類の作成や申請ができます。
これから日本に来る外国人や既に日本に住んでいる外国人は手続きの時間の短縮で本業や学業に集中できますし、入管窓口としても法律の専門家が書類を作成して持ってきてくれる安心感があるのです。
上記の項目でも軽く説明しましたが、行政書士として入管業務でできることは次のようにたくさんあります。
資格外活動許可申請:アルバイトやパートをしたい留学生が在留資格の範囲内で活動できるようにする申請
永住許可申請:日本の永住権を取得して活動資格や在留期限などの制限をなくす申請
在留資格取得申請:子供が産まれた夫婦など、60日以上日本に在留する際の申請
在留資格認定証明書交付申請:海外に住んでいる外国人が事前に日本に入国する際の申請
在留資格変更許可申請:今の在留資格での活動をやめて、別の在留資格で活動を行う時の申請
在留資格更新許可申請:今持っている在留資格を延長したい時に行う申請
就労資格証明書交付申請:日本に住む外国人が日本で就労する資格があるのか証明する申請
監理団体許可申請:事業協同組合が外国人技能実習生事業を行う際の申請
申請が不許可になると、最悪の場合は国外退去もあり得るでしょう。
つまり、行政書士が行う入管業務は責任重大なのです。
行政書士の入管業務の需要はある?
ここまで見てきたように、行政書士の入管業務は非常に重要な仕事であり、そのため「入管業務がやりたい!」という新人行政書士(候補)も多くいます。
現在(2021年9月)、感染症拡大の影響で外国人の来日が減っていますから、一時的にニーズは減っています。しかし、感染症が収まれば、また多くの外国人が来日することは間違いないですから、需要が増えることはあっても減ることはないでしょう。
行政書士が行う入管業務の大まかな流れ
行政書士事務所によって違いはありますが、入管業務の大まかな流れについて簡単にまとめてみました。
- 電話やメールで依頼人と面談を行い、今の状況をヒアリングして許可の可能性を検討する
- 提示した契約内容に納得・合意して頂いたら料金支払いの手続きをする
- 申請書や理由書を中心に、入国管理局に提出する書類を作成する
- 行政書士が入国管理局に申請書類を提出する(依頼人の代行)
- 入国管理局から事務所に許可・認定書類が郵送される
- 認可された場合は料金の精算を行い、今後の対応について依頼人と話し合う
最初に面談やカウンセリングを行い、依頼人に合わせて手続きをしていきます。
入管業務では外国人の依頼人が来ますので、行政書士は語学のスキルがあるに越したことはありません。
行政書士の入管業務の報酬はどのくらい?
行政書士の報酬は、事務所で自由に設定できます。
この点に関しては、外国人をサポートする入管業務も全く一緒ですね。
以下では、行政書士事務所別で入管業務の報酬をどのくらいに設定しているのかまとめてみました。
<若松絵里社労士・行政書士事務所>
在留資格認定証明書交付申請:150,000円~
在留資格認定証明書交付申請:65,000円~
在留資格認定証明書交付申請:200,000円~
在留資格変更許可申請:150,000円~
在留期間更新許可申請:50,000円~150,000円
就労資格証明書交付申請:50,000円~150,000円
資格外許可申請:40,000円~
永住許可申請:150,000円~
<行政書士 林 幹 国際法務事務所>
在留資格認定証明書交付申請:150,000円
在留期間更新許可申請:転職がない場合50,000円、転職がある場合10,000円~100,000円
永住許可申請:150,000円
退去強制手続き:150,000円
帰化許可申請:給与所得者は150,000円、経営者は200,000円
行政書士事務所によって、取り扱っている業務も報酬の設定も違います。
事務所の経営で重要な部分ですので、入管業務の報酬額は慎重に決めないといけません。
まとめ
以上のように、行政書士が行う外国人の入管業務について詳しくまとめてみました。
外国人をサポートする点では一緒ですが、資格外活動許可申請や永住許可申請など行政書士が行える入管業務はたくさんあります。
入管業務を仕事で専門的に取り扱いたい行政書士は、セミナーに参加して知識を身につけるのも選択肢の一つです。
今後もニーズが高まる業務ですので、行政書士の入管業務についてきちんと押さえておきましょう。