今回は、「行政書士」という仕事に関心を持ち始めた方を対象に、
「どうすれば行政書士になれるのか?」
ということについて、分かりやすくまとめてみました。
実は、行政書士試験を受けただけでは、行政書士として仕事をすることはできません。
行政書士として仕事をするためには、行政書士会への登録が必要なのですが、登録には要件があり、誰でも登録できるわけではありません。
この記事では、そうした登録の要件や登録方法に加え、試験の勉強方法、そもそも行政書士に向いている人・適性は? などを多角的に説明しています。
参考にして頂ければ光栄です。
なお、「行政書士とは、どんな職業か」ということについては、別の記事にまとめてありますので、下記を参考にしてください。
また、行政書士試験制度の概要や、行政書士試験の出題内容・試験科目などについては、下記の記事を参考にしてください。
行政書士のやりがいや仕事内容
行政書士とは官公庁に提出する書類を作成したり、行政不服申立て手続きの代理をしたりする専門職です。
法律関係の仕事ですので責任感はありますが、行政書士はやりがいがあります。
「数多くの顧客から依頼を受けた」「最初から最後まできっちりと仕事をやり遂げた」「誰かの役に立つ仕事ができた」といった時に、やりがいを感じている行政書士は多いのではないでしょうか。
そこで、まずは行政書士の大まかな仕事内容をまとめてみました。
- 遺産相続に関する遺産分割協議書の作成や相続財産の調査
- 交通事故に関する手続きや金銭の消費貸借等の書類の作成
- 土地に関連する各種申請手続き
- 債権債務問題に関する手続きや内容証明郵便の書類の作成
- 会社設立の手続きや事業運営の支援
- 知的資産経営報告書の作成やサポート
- 「建設業許可申請」「入札資格申請」「営業開始届」などの手続き
行政書士の仕事内容は非常に幅広く、様々な社会貢献に取り組んでいますね。
正確な法律の知識と高いコミュニケーション能力が行政書士に求められる能力で、常に最新の法律知識を会得しないといけないのが大変なことです。
しかし、責任感の重い仕事だからこそ、きちんとやり遂げて顧客から感謝された時に喜びを感じられます。
行政書士に向いている人や適性
どのような人に行政書士が向いているのか、いくつかの適性を紹介していきます。
- 正しい法律の知識で正確かつスピーディな事務処理力を持っている
- 顧客やクライアントと信頼関係を築ける高いコミュニケーションスキルを持っている
- 顧客にとって重要な書類作成業務を行うため、責任感を持って仕事を行える
「事務所スキル」「コミュニケーションスキル」「接客スキル」など、行政書士に求められる能力はとても多いのです。
行政書士になるには?2つの方法あり!
行政書士になるにはどうすれば良いのか、疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
行政書士になるには、次の2つの方法があります。
- 毎年1回に渡って実施される行政書士試験に合格する
- 他の資格取得者が一定期間の行政事務実務経験があると与えられる
最もオーソドックスな方法が行政書士試験への合格で、国から認められている国家資格の一つです。
試験は年齢や性別に関係なく受験できますが、合格率は10%以下と低い数値になっています。
また、弁護士や税理士、公認会計士や弁理士の資格を持っている方や、公務員の方で17年~20年以上行政事務の仕事(書類作成の仕事)に携わっている方は、試験をパスして行政書士になることが可能です。
行政書士として一定期間の実務経験を持っていれば、試験免除制度が適用されます。
※公務員の行政書士試験免除について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
行政書士になるには?独学でも可能なの?
行政書士になるには、予備校や通信講座を利用して知識を身につけるのが一般的です。
弁護士や公認会計士と同じように難関の資格ですので、プロの講師に教わることで合格率を上げられます。
しかし、行政書士の試験で独学は不可能というわけではありません。
独学で勉強して行政書士になるに当たり、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
- テキスト代や参考書代など、最低限の費用で勉強ができる(予備校や通信講座は高ければ十万円以上の費用がかかる)
- 自分の好きなタイミングでマイペースで行政書士になるための学習を継続できる
自分で計画的に勉強ができる人であれば、わざわざ高いお金を支払って予備校や資格スクールに通う必要はありません。
難関資格と言われている行政書士でも、独学で勉強して合格している方はいます。
ただし、長期間に渡る勉強に耐えることができず、途中で挫折してしまう方も少なくありませんので、行政書士試験に確実に合格したいのであれば予備校や通信講座を利用すべきです。
※行政書士の独学勉強法については、下記の記事も参考にしてみてください。
行政書士となる資格を有する者とは?
行政書士法第2条では、次のいずれかに該当すると「行政書士となる資格を有する者」と見なされます。
- 行政書士試験に合格した者
- 弁護士となる資格を有する者
- 弁理士となる資格を有する者
- 公認会計士となる資格を有する者
- 税理士となる資格を有する者
- 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した機関及び特定独立行政法人
行政書士になるには試験への合格だけではなく、行政書士会に登録しないといけません。
また、次の8つに該当する方は、行政書士になる資格を持つ方でも行政書士として登録できないと行政書士法第2条の2で欠格事由が定められています。
- 20歳未満の未成年者
- 成年被後見人又は被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられた者(執行を受けることがなくなってから3年が経過していない)
- 特定独立行政法人又は特定地方独立行政法人の役員を含む公務員
- 第6条の5第1項の規定により登録の取消しの処分を受けて3年が経過しない者
- 第14条の規定で禁止の処分を受け、当該処分の日から3年が経過しない者
- 懲戒処分で「弁理士」「税理士」「司法書士」「土地家屋調査士」を業務を禁止されて、処分を受けた日から3年が経過しない者
試験に合格した人全てが行政書士になれるわけではない点に注意が必要です。
行政書士会への登録はなぜ必要?
行政書士の資格を持っているだけでは、顧客に対応して行政書士としての業務を行うことができません。
行政書士になるには都道府県の行政書士会に入会し、正しい手続きで登録するのが必須条件です。
東京都行政書士会に登録する場合、次の費用が発生します。
- 登録手数料:25,000円
- 行政書士会への入会金:200,000円
- 年会費:72,000円(月々6,000円)
- 登録免許税の収入印紙:30,000円
- 政治連盟会費:3,000円
参考:東京都行政書士会
「なぜこれだけの費用を支払ってまで行政書士会への登録が必要なのか?」と疑問を抱えている方は少なくありません。
その理由ですが、行政書士会連合会に設置してある行政書士名簿へ登録されないと行政書士として業務ができないと決められているからです。
つまり、行政書士として正式に業務開始するには、それなりの費用が発生すると心得ておきましょう。
行政書士会への登録方法をまとめてみた
以下では、行政書士会への登録方法を説明していますので、手続きの流れを事前にチェックしておいてください。
- 事務所を開設する予定の都道府県行政書士会で「行政書士登録申請書」の書類をもらう
- 書類の中に名前や住所などの必要事項を記入する
- 他にも「履歴書(連合会規定用紙)」「誓約書(連合会規定用紙)」「東京都行政書士会入会届(個人用)」「事務所写真」などの書類を用意する
- 都道府県行政書士会に書類を提出し、入会金や登録料を納付する
- 申請が受理されると審査がスタートする
- 審査が終了すると登録や入会の完了の通知が郵送される
行政書士会に登録して行政書士名簿に名前が載ると、行政書士としての業務や仕事を顧客に提供できます。
行政書士事務所の形態によって登録に必要な書類は変わりますので、詳細は事務所を開設する予定の都道府県行政書士会に問い合わせて確認してみてください。
その他、行政書士会への登録については、そのメリット・デメリットを含めた詳細を別の記事で説明しています。よかったら参考にしてください。
まとめ
以上のように、行政書士になるには何をすれば良いのかまとめてみました。
一般的には、予備校や独学で行政書士としての知識を身につけ、試験に合格して行政書士会に登録すると業務をスタートできます。
他の資格とは違い、試験に合格するだけではなく行政書士会への登録が仕事をしていく上で必須だと心得ておきましょう。