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通関士は仕事がない?将来性は?意味のない資格って本当?

通関士 仕事ない

そもそも通関士とは?

そもそも通関士とは、輸出入者の代理人として税関に輸出入の申告や各種手続きを行う資格を指します。

貿易関係の唯一の国家資格で、合格率は毎年10%~15%の難関資格ですね。

通関業者は通関業務を適正に行うために、通関士の設置が義務付けられています。

通関士は名称独占資格

通関士は、資格を持っている人だけが名称を名乗れる名称独占資格です。

通関書類(輸出入申告書)の審査及び記名押印の独占業務を持っています。

通関士は仕事がない?

「通関士の資格を取得しても仕事がないのでは?」と疑問を抱えている方はいませんか?

確かに、他の士業と比較してみると通関士の知名度は低め…。

しかし、「通関士は仕事がない」「通関士を取得しても意味がない」という考えは間違いですよ。

以下では、通関士の仕事が多い理由をいくつか挙げてみました。

転職サイトなどを検索すれば、多くの募集がある

転職サイトで「通関士」と検索してみると、多くの募集求人があることがわかります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、以前と比べてみると通関士の求人数は減りました。

それでも、グローバル化が進んでいる現代では需要が増えていますので、通関士の資格を活かして就職や転職ができます。

海外で働くこともできる

最近では日本を飛び出して海外で働きたいと希望する方が増えました。

世界の物流は通関士が支えていると言っても過言ではありませんので、海外でも働くことができます。

もちろん、海外の企業や会社に採用されるには一定の英語力が必要!

実務をこなせるだけの英語力があれば、通関士の資格を活かして海外で貿易関係の仕事と携わることができます。

通関士に将来性はない?

これから通関士の資格取得を目指すに当たり、将来性があるのかどうか気になりますよね。

ネットでは通関士に将来性はないとの意見が出回っていますが、決してそんなことはありません。

ここでは通関士に将来性がないと言われる理由や、需要が高い理由について解説していきます。

将来性がないと言われる理由~事務職はAIに置き換わる

通関士に将来性がないと言われる一番の理由は、AIの発展で仕事がなくなる恐れがあるからです。

確かに、書類作成や審査などの事務職はAIに置き換わる可能性あり…。

キャッシュレスの発展も重なり、将来的に通関士の仕事の一部は減少します。

通関士が完全にAIに置き換えられることはない

AIやキャッシュレスで通関士の仕事が減少しやすいのは事実ですが、完全にAIに置き換えられることはありません。

全ての業務をAIに組み込んで運用するよりも、人に任せた方が費用も時間もかからないと考える企業も多いですね。

それに加えて、トラブル対応や貨物現物検査、荷主への対応は人間でしか対処できません。

通関士としての専門的な知識を身に付けていれば、職を失う心配はないでしょう。

我が国の輸出入は更に増える

日本国内はエネルギー資源が少なく、自給自足できるほどの食料生産も望めません。

これは将来的に大きく変わらないため、日本経済の中心は輸出入になります。

今後我が国の輸出入は更に増えると予想されていますので、通関士の需要も増えるわけです。

専門的な知識を持つ通関士は、安定した業務を行うことができますよ。

FTA・EPAなど、より専門性の高い人が求められる

現在の日本では、多くの国や地域とFTAやEPAを締結しています。

FTAは自由貿易協定、EPAは経済連携協定のことですね。

FTAやEPAで多くの貨物が輸出入の対象になりますので、今後はより専門性の高い通関士が求められます。

試験に合格して資格を取得して満足するのではなく、更に幅広い知識を身に付ける努力が必要です。

通関士の資格を取っても意味はない?

ここでは、通関士の資格の取得に意味があるのかないのか解説していきます。

通関士試験の難易度は高いが、意味があるかどうかは本人次第

下記のページで詳しく解説していますが、通関士試験の難易度は高めです。

通関士難易度ランキング
通関士の難易度ランキング!他の資格と偏差値などを比較・解説!通関士とは? 通関士とは、税関に輸出入の申告や各種手続きを行う貿易に関する唯一の国家資格です。 通関業者は通関業務を適切に行うた...

 

通関士の資格を取って意味があるのかどうかは本人次第!

通関士は貿易・流通・通関業界で役立ちますが、それ以外の業界で活用できる場面はありません。

つまり、自分が目指している業界で必要なのであれば、通関士の資格取得には大きな意味がありますよ。

通関士と名乗らなくても資格は活かせる

通関士と名乗らなくても、資格を活かせる場所はたくさんあります。

貿易のスペシャリストとして、物流会社やメーカーなどの通関部門で働くことは十分に可能です。

下記の項目でも解説していますが、貿易コンサルタントやメーカーの法務担当として活躍できます。

未経験者より経験者の方が有利

転職するに当たり、有資格の未経験者より無資格の経験者の方が有利になります。

会社によっては、無資格でも実務経験があって即戦力となる人材を優先して採用する通関業者は少なくありません。

つまり、通関士の資格さえ持っていればOKという単純な話ではないわけですね。

「貿易実務」「簿記など会計」「英検・TOEICなど英語系」「パソコン実務」等の資格もあると高評価

貿易業界では、通関士だけではなく次の資格もあると評価が高くなります。

  • 貿易実務:日本貿易実務検定協会が主催する貿易実務のエキスパートの証明
  • 簿記など会計:日々の企業のお金の出入りや取引を記録する知識
  • 英検・TOEICなど英語系:商社や貿易会社で貿易実務に関わる際に語学力が求められる
  • パソコン実務:PCの基本スキルやWord(ワード)・Excel(エクセル)など

上記の項目でも解説しましたが、自分の目指す業界に合わせてどの資格が必要なのか考えましょう。

資格を取って就職・転職して業務経験を積めば将来有望

通関士の資格を取得し、就職・転職して業務経験を積めば将来的に有望です。

通関士は貿易や通関に関するエキスパートですので、グローバル企業を中心に様々な業界で重宝されますよ。

最初は未経験なのは仕方ありませんが、実務経験を積んでスキルアップするのが大事です。

通関士の資格取得者の活躍の場は多い

通関士の資格取得者の活躍の場所は意外にもたくさんあります。

活躍できるフィールドが広いため、「通関士は意味ない」といったことはありません。

具体的にどのような業界で通関士が活躍できるのか見ていきましょう。

通関業者

通関士の一番の活躍の場は通関業者です。

通関業者では、輸出入に関する一切の業務を請け負っています。

通関業務に従事するのはもちろんのこと、通関・国際輸送の営業部門で勤務することも!

こういった営業所では業務の従事者10人につき1人以上の通関士の設置義務がありますので、有資格者は重宝される存在ですね。

メーカー

メーカーは、日々製品を輸出したり原材料である外国産品を輸入したりしています。

代表的なメーカーは、旧財閥系の株式会社日立物流バンテックフォワーディングや鉄鋼を手掛ける神戸製鋼所です。

輸出入では必ず通関業務が発生しますので、通関士の資格を持つ方が欠かせません。

大きなメーカーは自社で通関部門を持っているため、通関士の代表的な就職先や転職先です。

商社

海外取引を行う商社ほど、輸出入に関する規制や制度などの知識が不可欠です。

輸出入に従事する商社は通関業との結びつきが強く、通関士の求人募集をかけていますよ。

商品の輸出入が企業として重要な部分になりますので、その業務を担うことでやりがいを感じられるのではないでしょうか。

貿易会社

貿易と通関事務は切っても切り離せない関係です。

貿易会社では顧客と契約を結ぶ前に輸入品などの税率を把握し、どのくらいの利益が発生するのか予測します。

国際的なビジネスを行っていますので、専門的な知識を持つ通関士が活躍できる場所の一つです。

貿易会社への就職や転職を検討している方は、通関士の資格取得を目指してみてください。

運送・倉庫業

運送会社や倉庫会社の中には、通関業者の許可を受けている会社もあります。

運送会社や倉庫会社の代表的な業務は下記の通りです。

運送会社:物品の輸送に加えて物品の保管など輸出入に関わるトータルサービスを提供
倉庫会社:保税蔵置場の許可を受けて輸出貨物を保管したり積み下ろしたりする

どちらも通関業の許可を取得して通関業務を行っていますので、通関士の有資格者が活躍しています。

独立開業は向かない

将来的に独立開業する目的で、資格の取得を目指している方は少なくありません。

しかし、通関士は独立開業に向かない資格です。

通関士はいずれかの会社に所属して勤務し、通関業の仕事をすることができます。

つまり、通関士は独立系ではなく勤務系の資格というわけですね。

もちろん、通関士としての専門的な知識を活かし、インターネット販売など貿易関係の会社を立ち上げる選択肢はあります。

通関士を取るメリット

「通関士は仕事が少ないから意味ないでしょ?」と考えている方のために、資格を取得するメリットをいくつか挙げてみました。

これから通関士の試験合格を目指そうとしている方は要チェックです。

通関業務はリモートワークと相性がよい

近年では新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが中心に企業が増えました。

2020年のコロナ騒動以前からも、通関業者の中には在宅勤務の制度を整えているところもあります。

つまり、通関業務はリモートワークとの相性が良いのです。

通関士の在宅勤務が一般化する流れになっていますので、現代の働き方にマッチしています。

通関業務には、そこまで高い英語力は求められない

貿易関係の仕事と聞き、「高い英語力が必要なのでは?」とイメージしている方はいませんか?

英語力があるに越したことはないものの、通関業務にはそこまで高い英語力は求められないですよ。

実務に必要な用語や簡単な英語さえ理解できれば、通関士としての仕事をこなすことができます。

英語力の有無で就職や転職は左右されないため、通関士の試験勉強や面接対策に力を入れるべきです。

女性にも働きやすい

女性でも働きやすいのは通関士の資格を取得するメリット!

現に通関士は男性よりも女性の合格率の方が高い傾向があります。

それは通関業において適切なリスク管理をしながら通関手続きを行うと顧客の満足度や信頼感が高まるため、緻密な作業を正確にこなせる女性に向いているからです。

もちろん、通関士が活躍する企業で女性を蔑視する風潮は残っていないので安心してください。

資格手当や昇給にもつながる

国家資格の通関士を取得すると、社内での信頼度がアップして資格手当や昇給にも繋がります。

職場や勤続年数で違いはありますが、通関士の資格手当の相場は5,000円~15,000円程度です。

通関士の資格取得を管理職になる条件として定めている会社もありますので、キャリアアップを目指すのにも欠かせません。

働きながら目指すことができる

転職サイトの求人情報を見てみると、働きながら勉強をして通関士の資格を目指せる会社があります。

資格を目指せる環境を整えている会社に転職すれば、実務経験を積むこともできますので一石二鳥ですね。

資格試験に必要な費用や通信講座の料金の一部を負担してくれるところもありますので、自分に合う求人を探してみましょう。

「通関士」の名称にこだわらなければ、貿易実務のプロとして多くの活躍の場がある

通関士の資格の活かし方で、通関業務は定番です。

しかし、「通関士」の名称にこだわらなければ、貿易実務のプロフェッショナルとして幅広い業界で活躍できます。

例えば、税関コンサルタントや貿易コンサルタントなどの仕事が代表的です。

貿易の法律の専門家としてメーカーの法務担当で働くこともできますので、通関士の試験勉強を通して得た知識は無駄になりません。

まとめ

以上のように、「通関士に仕事はない」「通関士の資格を取っても意味がない」という考えは間違いです。

「通関業者」「メーカー」「商社」「貿易会社」など、通関士が活躍できる場所はたくさんありますよ。

今後更に需要が増えると予想できますので、通関士の資格を取得して就職・転職して業務経験を積んでみてください。

 

この記事の監修者
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション