行政書士の受験資格で学歴は必要なの?
行政書士の試験を受験するに当たり、「学歴は必要なの?」「大卒限定なの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
資格試験の中には学歴が関係するものがありますので、中卒や高卒の自分でも行政書士の試験の受験資格があるのかどうか気になりますよね。
結論から言うと、行政書士の試験を受験するに当たって学歴は不要です。
行政書士の資格試験は、「学歴」「年齢」「性別」「国籍」に関係なく誰でも受験できます。
学歴で言えば、大学を卒業していなくても、中学や高校の卒業の程度でも問題ありません。
試験に合格して資格登録をすれば、誰でも行政書士を名乗って業務ができるわけです(ただし、資格登録には要件があります)。
以下は、行政書士試験研究センターが発表した平成29年度(2017年度)行政書士試験の合格者の年齢別データです。
年代 合格者数 10代 51人 20代 1,336人 30代 1,901人 40代 1,696人 50代 963人 60代 413人
このデータを見てみると、あらゆる年代の方が行政書士の試験に合格していることがわかります。
10代の行政書士の合格者数は少ないのですが、社会人でもフリーターでも資格にチャレンジできるわけです。
中卒・高卒・大卒の誰でも行政書士試験に合格できる!
受験資格のない行政書士は、「中卒」「高卒」「大卒」と誰でも試験を受験して合格を目指すことができます。
つまり、学歴がないからといって不安になる必要はありません。
なぜ行政書士に学歴が重要ではないのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 行政書士法人の多くは中小企業で学歴を気にしても仕方がない
- 高学歴の人は難しい法曹を目指すケースが多く、他の士業と比べて行政書士に高学歴の人は少ない
行政書士の試験では法律の問題が出題されますので、「法学部出身でないと合格できないのでは…」と不安を抱えている方はいます。
しかし、行政書士は法学未経験者も数多く受験している資格試験です。
難しい試験というイメージはありますが、行政書士は初学者でも十分に狙えますよ。
もちろん、行政書士は簡単に合格できるほど甘い資格試験ではありませんので、独学よりも予備校や通信講座を利用して勉強を進めた方が良いでしょう。
行政書士の試験で学歴が影響する内容とは?
行政書士の資格試験は、次の試験科目で構成されています。
行政書士の試験を受験するに当たり、大卒などの学歴の要件はありません。
しかし、行政書士の試験科目の一般知識等は幅広い知識が求められる問題が出題されますので、学歴は多少関係してきます。
行政書士の一般知識等の試験範囲は非常に広く、勉強をしてすぐに成果が出るわけではありません。
今までに培ってきた知識が役立つケースが多いため、学歴のない人は行政書士のこの試験分野で躓く恐れあり…。
中卒や高卒で行政書士の試験の合格を目指している方は、民法や行政法などのメインの試験科目だけではなく、一般知識問題の対策もきちんと練ってください。
行政書士の独立開業で学歴は必要なの?
行政書士の世界では、学歴はあまり関係ありません。
これは試験の受験資格だけではなく、行政書士に合格してから独立開業する場合も同じです。
中卒でも大卒でも、学歴に関係なく行政書士の資格を活かして独立開業して活躍している方はいます。
行政書士の仕事では学歴よりも大事なものが多く、どのようなタイプの人が向いているのかまとめてみました。
- 行政書士事務所で働き、今までに確かな経験や実績を残している
- 顧客目線で問題を解決できる接客スキルやコミュニケーションスキルを持っている
- 人柄が良くて誰でも安心して相談できる
- 書類作成代行と許認可申請代行を確実にこなす事務処理スキルを持っている
- 事務所を生み育てるマーケティング分析や資金計画などの経営能力がある
どんな仕事にも向き不向きがあるように、行政書士の仕事にも適性があります。
中でも独立開業する予定であれば、接客スキルやコミュニケーションスキルが欠かせません。
例えば、高度な法律知識を駆使して専門家風を吹かせて上からアドバイスするような行政書士では、当然のように依頼者は逃げていきます。
つまり、依頼者や相談者目線で親身になってサポートしたりアドバイスしたりしてくれる行政書士が活躍できるわけですね。
これは受験勉強で養える能力ではありませんので、行政書士の独立開業において学歴が全てではないとおわかり頂けるのではないでしょうか。
行政書士の独立開業で学歴が役立つ理由!
行政書士として独立開業するに当たり、次の4つのメリットがあります。
- 顧客を増やして数多くの業務をこなせば年収が大きくアップする
- 他の業種と比べて開業コストが低く、事務所や店舗を持たなくても自宅で始められる
- 定時出社やサービス残業など会社の縛りに捉われず、マイペースで仕事をこなせる
- 定年退職の概念がなく、長年のキャリアと信用を活かして何歳まででも働ける
行政書士は転職で役立てるよりも、独立開業する際に強い資格です。
上記の項目では、行政書士の独立開業で学歴は不要だと解説しました。
しかし、行政書士の独立開業で成功するに当たって学歴が一切必要なしというわけではありません。
一流大卒など学歴を持っている方は、行政書士の資格を活かして仕事を行う際に同業者とのネットワークを作りやすくなっています。
例えば、早稲田大学卒のOBであれば、早稲田大学出身者の行政書士、およびその関係する方々のコミュニティ「行政書士稲門会」があります。
行政書士稲門会に加入することにより、同じように行政書士の資格を活かして働いている人と情報交換が可能。
同業者とのネットワークは、行政書士として独立開業する際に欠かせません。
行政書士事務所に雇われる使用人行政書士は学歴が関係するケースあり!
行政書士の試験に合格した後に、独立開業するのではなく使用人行政書士として働く選択肢もあります。
使用人行政書士とは自ら開業するのではなく、個人事務所や行政書士法人に雇われて資格登録をしている行政書士のことですね。
行政書士事務所に雇われる使用人行政書士は、多少なりとも学歴が関係しています。
以下では、行政書士事務所の求人の応募資格の条件についてまとめてみました。
- 大卒以上
- 専門卒以上
- 高卒以上
- 学歴不問
一般的な会社に就職して働く時と同じように、行政書士事務所に雇われる際も学歴は関係しています。
例えば、中卒の行政書士は「大卒以上」「専門卒以上」「高卒以上」の求人に応募することができません。
大卒など学歴が良いほど、好条件の行政書士事務所で使用人行政書士として働くことができます。
しかし、応募資格の欄に「大卒以上or専門卒以上」と表記されていても、100%雇ってもらえないわけではありません。
行政書士の資格さえあれば臨機応変に対応してくれる行政書士事務所はありますので、どうしても働きたい求人が見つかったら相談してみるのも選択肢の一つです。
収入を大きく増やしたいなら独立開業がベスト!
収入を大きく増やす点を重視するのであれば、行政書士事務所で使用人行政書士として働くよりも独立開業がベストです。
独立開業して誰でも成功できるわけではありませんが、行政書士事務所で働いても満足のいく給料をもらうことはできません。
「こんなに頑張って行政書士の資格を取得したのに給料が少ない…」と悩んでいる方はいます。
大半の行政書士は年収300万円~400万円前後ですので、試験合格の難易度を加味すると十分とは言えないですよね。
しかし、上記でも解説したように行政書士として独立開業すれば全て自分の収入になりますので、大きく年収をアップできます。
※行政書士の独立開業については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
以上のように、行政書士の受験資格の中に学歴がない点についておわかり頂けましたか?
中卒でも高卒でも行政書士の試験を受験し、合格した後に独立開業して働くことができますよ。
しかし、行政書士事務所に雇われる使用人行政書士として働く場合は、多少なりとも学歴が関係してくる可能性があることは心得ておきましょう。
この記事の監修者 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |