行政書士試験

行政書士の偏差値は?難易度ランキングを徹底分析!

行政書士の難易度

これから行政書士の資格取得を目指す方は、難易度が高いのか低いのか気になりますよね。

行政書士は法律系の資格(士業)の一つで、弁護士や司法書士と比べると難易度が低いイメージがあります。

しかし、法律に基づいて国や国から委託を受けた機関が実施する国家資格ですので、行政書士の資格を取るのは決して簡単ではありません。

なぜ行政書士の試験の難易度が高いのか、考えられる理由をまとめてみました。

  • 法律専門職の資格は日常では使わない難解な内容が出てくる
  • 簡単に合格できる資格だと有資格者が増えて価値がなくなる
  • 近年の試験は法的な理解力や思考力を問う問題が多く、単なる丸暗記では対処できない

弁護士や司法書士と比べて簡単でも、行政書士も十分な準備なしで合格できるほど甘い資格ではないと心得ておくべきです。

そこで この記事では、

行政書士の難易度は、具体的にはどの程度高いのか?

が分かるように、

  • 合格率から見た難易度ランキング
  • 他資格の勉強時間の比較から見た難易度ランキング
  • 他資格の偏差値の比較から見た難易度ランキング
  • 試験内容や科目数から見た難易度ランキング

などを分かりやすく説明しています。

行政書士の難易度が気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

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行政書士 合格率から見た難易度ランキング

まずは、近年の行政書士試験の受験者数や合格率のデータを見てみましょう。

受験者数 合格者数 合格率
平成22年度(2010) 70,586名 4,662名 6.60%
平成23年度(2011) 66,297名 5,337名 8.05%
平成24年度(2012) 59,948名 5,508名 9.19%
平成25年度(2013) 55,436名 5,597名 10.10%
平成26年度(2014) 48,869名 4,043名 8.27%
平成27年度(2015) 44,366名 5,820名 13.1%
平成28年度(2016) 41,053名 4,084名 9.95%
平成29年度(2017) 40,449名 6,360名 15.7%
平成30年度(2018) 39,105名 4,968名 12.7%
令和元年度(2019) 39,821名 4,571名 11.5%
令和2年度(2020) 41,681名 4,470名 10.7%

合格率が10%を切っている年度もありますが、平均すると10~13%程度の合格率となっています。

行政書士の受験者数は年々減っているものの、毎年の合格者はそんなに減っていません。

行政書士試験は合格基準をクリアすれば何人でも合格できる「絶対評価」の仕組みを採用している一方で、近年は試験問題の難化傾向にあるともいわれています。

試験問題が難化しているにも関わらず、毎年一定の合格者が出ているということは、それだけ受験者層のレベルが上がっているということです。

続いて、他の国家資格と比較した合格率ランキングは以下のとおり。

 
資格名 合格率
司法書士 約3~4%
社労士(社会保険労務士) 約6%
中小企業診断士 約4~8%(一次・二次ストレート)
行政書士 約10~13%
宅建(宅建士) 約15%

以上のように、超メジャー資格である宅建と比較すると、行政書士試験の方が合格率は低く、難易度が高くなっています。

一方、超難関の司法書士を始め、社労士や中小企業診断士の合格率などは全て一桁台ですから、それらに比べると行政書士は合格しやすいといえるでしょう(あくまで、合格率から見た難易度ランキングです)

行政書士の勉強時間から見た難易度は?

行政書士勉強時間の目安は次のとおりです。

  • 法律の知識のない初学者は600~800時間程度
  • 法学部出身者や、他の法律系資格の取得者であれば500時間程度

最短でも、500時間以上はかかります。

他の国家資格ですと、司法試験が6,000時間。私法書士が3,000時間、社労士が1,000時間といったところです。

一方、行政書士は、必要な勉強時間は500~800時間程度ですから、1日2時間で1年間勉強すれば合格レベルに達することができる計算になります。

実際に短期間で一発合格される方も多いですし、「きちんと勉強を継続できる人」であれば、十分に手が届く資格といえます。

以上より、行政書士の資格は難易度が高いものの、適切な勉強方法を実践すれば、短期間に一度の挑戦で合格できる資格といえるでしょう。

ちなみに、行政書士の平均受験回数は2回と言われています。

勉強スタイルについては、1年近くに渡って本気で取り組む姿勢であれば独学でも十分行政書士に合格できるでしょう。

ただし、効率よく勉強したいのであれば、スクールへの通学や通信講座を利用することがおすすめです(特に初心者の場合)。

スクールや通信講座であれば行政書士に合格するまでの道のりがある程度出来上がっていますので、独学で挫折した経験のある方も利用してみてください。

行政書士試験の勉強時間については、下記の記事も参考にしてみてください。

行政書士試験の勉強時間
行政書士の勉強時間の目安は500~800時間!科目別の配分は?【2023年向け最新版】行政書士の勉強時間は独学では600時間~800時間、予備校や通信講座の利用で試験に合格するには500時間程度と言われています。さらに、この記事では行政書士の試験科目の勉強する順番、勉強を始めるおすすめの時期についてもお伝えします。...

 

行政書士 偏差値から見た難易度ランキング

行政書士の試験の難易度が他の資格と比較してどうなのか、偏差値ランキングを見ていきましょう。

ここでは、行政書士の難易度がどのくらいなのか確かめるために、口コミサイトなどを参考にした偏差値ランキングをご紹介します。

※資格試験に公式な偏差値は存在せず、上記は目安であることをご了承ください。

公認会計士・税理士・司法書士などの偏差値は65~64と、司法試験よりは落ちるものの、かなり難易度が高くなっています。

「働きながら挑戦できる資格としては一番難しい」と言われる社労士や中小企業診断士の偏差値は60なので、59の行政書士とは同じ程度です。

以上より、行政書士の難易度は、難関国家資格(士業)の中では、標準的であるといえるでしょう。

行政書士の試験内容や科目(数)から見た難易度

ここでは、行政書士試験の特徴から難易度を考えてみます。

前述のとおり、行政書士の試験は、相対評価ではなく絶対評価で合否が判定されます。

「受験者の上位○○%が合格」「受験者の○○人までが合格」といった基準ではありません。

申込者数や受験者数に関係なく、行政書士試験研究センターが公表している60%の合格基準をクリアすると行政書士の試験に合格できます(分野別の足切りはあります)。

行政書士の試験科目は、次のように法令科目と一般知識の2種類です。

<一般知識科目>
  • 政治・経済・社会
  • 情報通信・個人情報保護
  • 文章理解

法令科目は全部で46問・244点一般知識科目は全部で14問・56点と大きく2つにわかれており、合計300点満点です。

300点の60%の180点以上をクリアすると、行政書士試験に晴れて合格です。

6割を得点すればOKと聞くと、「行政書士の試験は意外と簡単なのでは?」とイメージするかもしれません。

しかし、合格率のデータが低いことからもわかる通り、難しい内容で構成されています。

試験内容は全て筆記試験で、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は五肢または多肢(1~20)からマークシートで回答する択一式及び記述式、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式問題です。

択一式の問題も選択肢がかなりたくさんありますので、行政書士の試験は難易度が高くなっています。

全部で60問を制限時間の3時間で解く必要があるため、行政書士の試験に合格するには時間配分も重要です。

行政書士の難易度を他の資格と比較してみた

ここまで、様々な観点から行政書士試験の難易度を見てきました。

以下では、行政書士と他の資格の比較について、簡単にまとめておきましょう。

コメント
行政書士と宅建を比較 合格率・勉強時間とも、宅建の方が行政書士より取り組みやすい(容易)
また、試験範囲で比べてみても宅地建物取引士の方が簡単)
行政書士と公務員試験を比較 国家公務員の一般職や地方公務員と比べて、行政書士の方が遥かに難しい
行政書士と社労士を比較 試験科目は大きく異なるが、試験の難易度は同じくらい
行政書士と司法書士を比較 近年の司法書士の試験は最難関の司法試験にも匹敵するため、行政書士よりも遥かに難しい
行政書士と税理士を比較 税理士試験は資格の取得までに3年~4年の歳月がかかるため、行政書士よりも難しい
行政書士とFP1級を比較 試験の合格率で比べてみると、ファイナンシャルプランナー1級よりも行政書士の方が難しい

行政書士と分野が全く違う資格もありますので、「○○○の方が簡単(難しい)」と単純に比較することはできません。

しかし、これからの自分の将来を決めるに当たり、資格の難易度を目安に進むべき道を考えるのは選択肢の一つです。

行政書士試験の合格率が低い(難易度が高い)理由

行政書士の難易度は、難関国家資格(士業)の中では、標準的です。

とはいえ、偏差値59ということは、

行政書士試験は、数ある資格のなかで『上位18.4%』に属する難しさ、ということです。

合格率を見ても、約10%ということは、10人が受験して1人しか行政書士になれません。

なぜ行政書士試験の合格率が低い(難易度が高い)のか、考えられる理由をいくつか挙げていきましょう。

受験資格が設定されていない

行政書士試験に受験資格が設定されていません。

年齢や学歴に関係なく受験できるのはありがたいことですが、この規定が合格率を下げている大きな理由です。

極端な例を挙げてみると、申し込みをして受験料を支払えば、行政書士の勉強はもちろんのこと、これまで一切勉強をしたことがない人でも受験できます。

つまり、「今の段階では絶対に行政書士試験に合格できないけど、とりあえず受けておくか…」と考える方も気軽に受験出来てしまうのです。

他の士業の資格にも該当しますが、記念受験者が多ければ多いほど合格率は下がります。

「運だけで受かる」と楽観的な方もいますので、行政書士の試験は合格率が低くなりやすいわけです。

独占業務の参入障壁がある

行政書士には、次の3つの独占業務があります。

  • 官公署に提出する書類の作成や手続きの代行(建設業の許可申請や経営事項の審査申請、宅建業免許申請など)
  • 権利義務に関する書類の作成や手続きの代行(売買・賃貸借・抵当権設定・請負・雇用・身元保証などの契約書)
  • 事実証明に関する書類の作成や手続きの代行(各種の証明書や会計書類など)

これらの独占業務は、行政書士の資格を持つ人しかできません。

もし独占業務を持つ行政書士の合格率があまりにも高くなると、参入障壁を設定する意味がなくなります。

能力の担保と独占範囲の保護の両方を実現するために、行政書士の試験は難易度を高くし、結果として合格率を低くなるようにしているのです。

合格点の設定が厳しい

上記のとおり、行政書士試験の合格基準は60%の180点以上です。

しかし、試験に合格するには、「法令科目」「一般知識科目」のそれぞれで足切り点をクリアしないといけません。

資格試験における足切りとは、一定の基準に満たない対象者を切り捨てる制度のことですね。

行政書士の試験では総合点が180点以上なのに加えて、次の2つの足切りがあります。

  • 行政書士の業務に関わる法令等科目が満点の50%以上
  • 一般知識等科目の得点が満点の40%以上

例えば、法令科目が満点の244点で総合の得点が180点以上でも、一般知識科目が0点だと行政書士の試験に合格できません。

合格点がかなり厳しく設定されていますので、必然的に行政書士の試験の合格率は低くなります。

試験範囲が幅広い

試験範囲や学習範囲が幅広いのは、行政書士の合格率が低い理由です。

行政書士の資格は取り扱う業務範囲が広いため、対象となる法規も多岐に渡ります。必然的に学習すべき量も多くなるわけです。

更に科目ごとに難易度や配点がバラバラで試験対策が難しいので、行政書士に合格するには戦略的に学習を継続しないといけません。

 

大学生が行政書士の資格を取得するのは難易度が高い?

法律関係の資格と聞き、「大学生が行政書士の資格を取得するのは難易度が高いのでは?」とイメージしている方は多いでしょう。

行政書士は合格率が10%を切ることもある難易度の高い試験ですが、要件を満たせば大学在学中でも資格を取得できますよ。

上記でも少し説明しましたが、行政書士の受験資格に年齢は関係ありません。

中学生や高校生でも行政書士の試験は受験できるものの、資格の取得は20歳以上と決められています。

つまり、20歳以上の大学生であれば、試験に合格して資格の取得までできるわけです。

平成28年度の合格者の中で10代の方は1.4%(合格者数3,172人)いますので、不可能な数値ではありません。

そこで、行政書士の学生合格を目指す方は、本業が疎かにならないように学習方法とスケジュールのプランニングをしっかりと行いましょう。

「行政書士の勉強に力を入れ過ぎて単位を落とした」「学校の試験がダメで留年するかも」といった事態に陥らないように注意してください。

大学生が行政書士を取得するメリットについては、下記の記事を参考にしてください。

行政書士 大学生
大学生は行政書士を就活に活かそう!大学生の合格率や資格取得のメリットは?行政書士試験は受験資格が無いため、学歴や年齢等に関係なく誰でも受験できます。 つまり、大学生はもちろんのこと、中学生や高校生も受験...

まとめ

行政書士の試験の難易度についておわかり頂けたでしょうか。

他の法律系の資格と比較してみると、「行政書士は果てしなく難しい」というわけではありません。

それでも、初学者の場合は600~800時間程度の勉強が必要だと考えられていますので、きちんとスケジュールを立てて学習をスタートしてみてください。

この記事の監修者
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション